-財源確保のためにシャチ捕獲を画策する太地町-
シャチ捕獲に関しての非常に残念な新しい情報です。
背景:1997年に捕獲され、生き残っている2頭のシャチのうちの1頭 "クー"が2003年10月、太地町立くじらの博物館から名古屋港水族館に「ブリーディングローン」名目で5年間貸し出されました。
3月末に太地町は名古屋港水族館から正式なクーの貸し出し延長の依頼文書を受け取ったということです。貸し出し延長には議会の決定が必要なので、この5月中旬に太地町議会の所管委員会のメンバーが、名古屋港水族館を訪れ名古屋港水族館関係者と意見交換を行ったもようです。
その内容はだいたい以下のようなものだということです。
1)名古屋港水族館と太地町立くじらの博物館は、10月末にシャチに関する1997年からの総括研究報告書を完成させる。関係機関に成果を公表し、それをもとに水産庁からシャチ捕獲の許可を引き出し、来年はじめを目処にシャチ捕獲実現をめざしている。
2)共同研究の主たる内容は、繁殖に関連しての名古屋港水族館のクーの排卵データである。研究テーマである繁殖の実現のための確実な方法として(名古屋港水族館)と町政における非常に重要な財源(太地町)というそれぞれの思惑の元、シャチの捕獲に両者の利益関係が一致した。
3)もしシャチの捕獲の許可が速やかに下されない場合、国会質問をはじめとした国会議員による圧力を検討している。
4)太地町は共同研究という美名のもと、2003年には経営の苦しい「くじらの博物館」の財源としてクーの貸し出しを実施したが、今回は中国を含む他の水族館も射程に有利な方法を検討している。
もしこれが実現するようなことがあれば、日本政府はまだ生息状況も分かっていない希少動物のシャチを一部の利益享受のために許可することになります。また、小さいといえども公的な性格をもつ町が希少な野生動物を欲のために捕獲するという事は、この21世紀に許されるべきことではありません。
地方行政における財政の危機的な状況は太地町だけではありませんが、シャチ捕獲という一時的な財源確保は一時しのぎにしかならず、かえって町政としての健全な発展を阻害するものです。
さらに来年に日本開催が予定されているG8において、地球温暖化とともに生物多様性保全が重要な課題になろうとしています。その目前でのシャチ捕獲は日本の外交にとって大きなマイナスとなります。
また、2010年には生物多様性条約会議(COP10)の日本招致が閣議決定されています。この会議は、特に2010年目標として、生物種の減少を未然に防ぐための行動計画の評価が行われる非常に重要な会議で、来年行われる条約会議で開催国が決定するものです。それだけに世界の目が日本に向けられることは必至です。
その開催地とされている名古屋が希少動物のなりふり構わぬ捕獲を推進するとすれば、日本は世界に顔向けできなくなるでしょう。
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